FILE:03 SCENE
Another Gate

Devilish heart

03.Witch of garnet

再会


「美味しそう…///でもまたアクルクスさんに酷い目合わされる…。」




アクルクスに連れて来られた城の中
複雑に入り組んだそこに今だ慣れないアオが彷徨っていると
見知った顔を発見し、道を聞こうとつい呼び止めてしまった。

「あの…。」
「ぎゃあっ!?―――ス…スイマセンスイマセン…!!」

しかし、顔を合わせた途端に、全力で逃げられてしまい
困ったようにアオが固まっていると、戻ってきたのか、
柱の影からこちらを覗く悪魔の姿に気付いた。

「ねえ、あの時の悪魔の人…だよね?」
「うっ…。そうですけど…何でしょう。
 アクルクスさんなら、まだ仕事場に居ると思いますよ…。」
「そんなビクビクしなくても…。もう怒ってないから。」

確か、名はハダルと言っただろうか。
以前アクルクスが居ない時に、
アオを襲おうとしたことのある悪魔。

けれどよくよく服装を見てみると、
腕章などが最近のアクルクスの服装と一緒で
見知った者であるならば、もう悪さはしないだろうと
道だけでも聞こうと思い、アオはその悪魔の近くに寄って行った。

「なんか迷っちゃって…。できればアクルクスの所までの道、教えて欲しいんだけど…。」
「それは構わないんですけどね。道すがらまた襲っちゃうかもしれませんよ?」
「えっ…!?それは困るかも…。」
「僕だって困ってるんです!なんですかその悪魔を惑わすオーラ!!」

一見、おどおどしているようにも見える悪魔の青年だが
その言葉は意外にも大胆で、
アクルクスに酷い目に合わされた者の言葉とは思えなかった。
懲りていないのだろうかと疑問に思っていると、そうでもないらしく
色々葛藤があるのか、アオをなるべく見ないようにしてハダルは言葉を続ける。

「まるで、麻薬の霧纏って歩いてるみたいじゃないですか。我々に襲ってくれって言ってるようなものですよ。」
「何それ!そんなこと言ったって、私何もしてないし…。」
「つまりは良質すぎるんですよ。あなたの魔力が。」

アオの方に伸ばそうとした手を、自分で叩き落す様は
なんだか見ていて楽しい気がするが、一度襲われた後ではそんなことも言ってられなかった。

「じゃあ、自分でなんとかしてみる…。さよなら。」
「待って!…その前に一口…。」
「…一口、何?」
「い、いやその…キスだけでも…。」

冷たい視線を送るアオに、ハダルは顔を赤らめつつも混乱したように言う。
これ以上この場に居るのは危険だと感じ、
背を向けてアオが早々に立ち去ろうとすると
肩をがしっと掴まれて、無理やりハダルの方を向かされた。

「あ…。」
「…なんですか?くれる気になりました?」
「そうじゃなくて…後ろ…。」

向かされたその先に、ある人物の姿を見つけ
ハダルの背後を指差すアオに、そこに居たのは―――

「3秒以内にアオを離さないと、背中に大穴開かせる。」

やはり、アオの守護神である アクルクスだったという。



end

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