Devilish heart
01.Main chapter - Extra2
02.両手
#02-02「両手」の続き
「ん…?」
「あ、アクルクスおはようv」
「アオ…こっち向け。」
アオの胸元に顔を寄せ、尚且つ無意識に腕を回しながら眠るシアンと
後ろから包むようにして、抱き締めてくるアクルクスに
目が覚めた状態でも身動きがとれず、そのままでいたのだが…
耳元で聞こえた寝ぼけ声に、振り向くことが出来なくて。
そのままアオが困っていると、アクルクスが状況を思い出し、先に起き上がって覗き込んできた。
「なっ…!どこ枕にしてんだコイツ。起きろ…!!」
「ちょっ…、頭鷲掴みにしなくても!」
そして、目に映った光景に
瞬時に不機嫌になったアクルクスは、シアンの頭を掴んで退かそうとする。
だが、乱暴なことはダメだと言うように、アオに手を掴まれてしまい
仕方なく無理やり退かすことを諦めると、アクルクスはシアンの体を揺する作戦に出た。
「…お前もなんで、こんな状態許してんだよ。」
「だって、起きたらこうなってたんだもん。しょうがないでしょ、シアン君寝てるんだから。」
いい加減、この時点で起きても良さそうなものだが
シアンはよほど心地良かったのか、今も気持ち良さそうに寝ているだけで。
アオの抵抗を受けながら体を揺すってくるアクルクスの行動も、大して意味をなしていなかった。
「コラ!いじめちゃダメだよ。…やっ///上で暴れないで。」
「起こすのがダメなら、アオだけ返して貰う。邪魔するな。」
ハタから見れば、それこそもみくちゃな状況にシアンはようやくここで目を覚ますと、
同時にぽよんと顔に当たるものの感触に気が付いた。
つまりそれは、何故かシアンの上に圧し掛かるような格好になってしまった
アオの胸の谷間に、顔を埋めている状況で。
「~~~~///アオさっ…!?」
「えっ…?―――わっ///シアン君っ!?」
ゆとりのある服を着ていたせいか、下に向かった胸は、服から零れる寸前となっている。
素肌が直接触れ合う感覚に照れながらも、シアンは小さな呼吸困難に陥りかけていた。
「っ…!!」
そしてこちらは、思わず全力で天使を滅してしまいかけた、悪魔。
アクルクスはそんな光景を見るや、かなり強引にアオを引き剥がすと
両腕をがっしりとその胸に回し、自分の方へと引寄せた。
「ごめんね、シアン君…。」
「いえ///あの…おはようございます。」
ベッドの上に二人座るようにして、後ろからがっしりとアオを抱え
その顔がシアンの方を向いているのをいいことに、アクルクスは殺意の篭った視線を投げかける。
そんな悪魔の視線に、けれどアオしか見ていない為気付かなかったシアンは
ある意味、一番幸せなポジションなのかもしれなかった。
こんな朝が、あと何日かは続いていくのだ。
end