FILE:03 SCENE
Another Gate

Devilish heart


もちろん頂く!人間界だし…






「はいアクルvあげる。」

赤いリボンの巻かれた、丁寧にラッピングしてある箱を渡され
アクルクスは不思議がりながらも、その箱を受け取った。

「…甘い匂いがするな。」
「今日はね、女の子が好きな人にチョコをあげる日なんだよ。」

悪魔に難しい説明をしても無駄だと思い、簡単に言ってみる。
するとアクルクスは箱を手に持ったまま、空いている手でアオを抱き寄せた。

「知ってる。なんかで見た。」
「ああ、テレビ?」

片手でアオを抱えながら、箱を膝にのせて器用に開けていく。
中に入っていたのは、ころんとしたハート型の一般的なチョコレートだった。

「甘いのそんなに食べれないって知ってるけど。こういうのは気持ちだから。」
「アオがくれるもんなら何でも嬉しい。―――でも、残すの勿体無いよな。」

おもむろにチョコを一粒手に取ると、それをアオの口へと運んでいく。

アオは勧められるがままにそれを唇で挟むが、
チョコを持ったアクルクスの指は、一向に離れる気配が無かった。

「ん…、むぅ?」
「そのまま。」

当然、触れた唇の温かさに、チョコは溶けていく。

アクルクスの行動に不思議がりながらも、
垂れないようにあぐあぐと舐めていると、
じっとこちらを熱心に見つめる視線に気が付いた。

「…何、見てたの?」
「―――ああ、いい光景だなって。」
「っ!?…エロ悪魔///」

食べ終わり、アオが自分の唇に付いたチョコを舐めようとする前に
この時を待っていたかのように頭を引寄せられ、唇を奪われた。

口内に広がった甘さを、すべて絡め取られるような濃厚な口付け。
そして十分にその味を堪能した後、
次にアクルクスは自分の指をアオの口元へ持っていった。

照れながらも、今日だけは甘やかしてもいいかなと思い、
アオはその指に付いたチョコも、すべて舐め取っていく。

「これ、いいな…。」
「今回だけだからね///もうやらない。」

明らかに、熱の篭った視線を投げかけてくるアクルクスに
いつ押し倒されるかとびくびくしていると、ふいにアオの首に何かが触れた。

見ると、自分の首に包装用の赤いリボンが結ばれている。



「じゃあ、今度はこっち貰う。」
「えっ…?ちょ、やっぱそうな…わわ///」
「確か、恋人自体も貰っていい日なんだろ?」
「どんなテレビ見てたの!?…もう///」

end

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