FILE:03 SCENE
Another Gate

Devilish heart



「ほら、大人しくしててよ。」
「…手が寂しいんだけどな。」



ベッドの上にアクルクスを座らせ、その艶やかな黒髪を梳かしていくアオ。
けれど姿が見えない上に腕がもの寂しいらしく、
アクルクスはどこか落ち着かない様子だった。


「後ろ梳かし終わったら、前行くから。」
「ん…。―――でも、慣れると気持ち良い気がする。」


最初は振り向いてアオを抱き締めたい衝動にかられていたアクルクスも
そのうちに、髪を滑る櫛の感触が心地良いのか、じっとするようになってきた。

そんなアクルクスに、なんとなく悪戯心を覚えてしまい
アオは近くにあった角を、指でなぞってみる。


「なんか、不思議な感触だよね。アクルクスの角って…。」
「そうか?」
「摘んだりすると、やっぱ痛い?」
「結構、大丈夫だと思う。一応…今も触られてる感じはするんだけどな。」


つるっとしていて、羽や尻尾とはまた違う、石に近い感触。



好奇心から、アオがそっとその角を甘噛みしてみると
アクルクスの体がピクリと揺れ、
つられて尖った耳までもがぴすぴす動いているのが分かった。


「アオ…襲っていいか?」
「意外に敏感なんだね。硬いのに。」
「お前の口が柔らかすぎるんだよ。」
「でもダメ。もうちょっとで終わるから。」



触覚もだけれど、アオの行動にそそられてしまったとは言えるはずが無く。
もう少しで終わるという言葉に、アクルクスは大人しく待つことにした。


「いいなぁ。アクルの髪…サラサラで。」
「俺はアオの、ふわふわな髪の方がいい。」

今度は向かい合わせになるようにして、
膝立ちでその黒い髪を梳かしてあげるアオ。

目の前にある柔らかそうな肌に、今度は耐え切れず、
アクルクスは梳かす反動で揺れるアオの胸に、すりっと顔を寄せた。



「そ…、そんな所に頬擦りしないで///」
「無理。」


end

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