FILE:03 SCENE
Another Gate

Devilish heart



「何やってるんだかな。」


ヒリヒリと痛み出した手を横から掴まれ、見るとそこに居たのはアクルクスだった。
仕方ないな、という感じの声に自分のドジさを思い知りつつ、今は何も言い返せない。


「冷やしてくる…。」

「いい。俺が治す。」


涙ぐみながら手を引こうとするが、掴んでいた手がそれを許してはくれなかった。
アクルクスは火傷した相手の指を自分の口元へ持っていき、唇でその傷に触れる。

指全体が仄かに赤く光ったかと思うと、痛みはすぐに消えていった。
それが魔法の力によるものだとは分かっていたが、その効果には今だ驚かされるばかりだ。


「あ、ありがとう///」

「今回はまだ良かったけど、俺の居ない所で怪我するなよ。」


火傷が治った手を今だ握られたまま、引き寄せられて潤んだ瞼に口付けを受けた。
ふわりと触れただけのそれは優しく、自分を慰めてくれるようなものに感じる。

一見無愛想な言葉とは裏腹に、これはアクルクスなりの心配の仕方だと思った。


痛みが引いた手は 今は先ほどとは違った熱だけを湛えている。

end

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