FILE:03 SCENE

Devilish heart



「………。」


こつん、という音がして振り向いてみると、アオがテーブルに額を付けて寝ている姿が目に入った。
「明日までにこれ終わらせないと…。」と言い、何かを紙に書き込んでいたのはつい先ほどのことだ。

時刻は深夜。いつものアオならさすがに自分の腕の中で眠りに付いている時間帯だったが
今日は何かしなければいけないことがあったらしく、まだ眠る気は無かったようだ。


「アオ…?…もういいのか?」


呼びかけるが、返事どころか反応もまったく無い。

そういえば、直前まで眠気を覚ます目的でコーヒーを飲んでいた筈だったが…
と、眠るアオの手元を見てみると、飲みかけのままのカップが握られていた。


「それじゃ意味ないだろ…。」


そんな光景が微笑ましく感じつつ、無性に愛しさが沸いてくる自分に気付く。
このままベッドに寝かせてもいいのだが、ちょっとした悪戯心が芽生えてきた。


机に伏して眠るアオの体を後ろから抱え、自分の方へ持たれかからせる。
思ったよりも深い眠りに落ちているのか、力を失った体は抵抗するそぶりが無かった。


(それにこういう場合、起こさないと後々拗ねるからな。)


明日までに終わらせなければいけない事、というのは、ざっと紙を見る限りまだ終わってない気がする。
ここで起こさない場合、次の日アオが困るということもなんとなく予想がついた。


「アオ…起きろ。」

「……ん…。」


耳元で優しく囁きながら、服の隙間から手を差し入れ、体を探る。
柔らかな肌の感触を楽しむように胸の膨らみを揉み解すと、くすぐったいのかアオが微かに身じろぎをした。

コーヒーでも覚ますことのできなかった眠気を、どうやって覚ましてやろうかと考えると
当然こういう起こし方のほうが自分も楽しめる。

お預けされていた体を起こす目的で存分に弄べるかと思うと、それだけで内に熱が溜まりそうだった。


「ぅ…、や…だ…アクル…。」

「まだ眠るわけにはいかないんだろ。」


知り尽くしたアオの体の弱い部分を探ることなど、何よりも簡単で。
首の後ろに舌を這わせながら執拗にその部分を刺激すると、初めてアオがまともに反応を返した。

けれど一度眠りの淵に落ちた意識は、そう簡単に戻らない。
眠さだけが支配する体は、まだ快楽などの類は感じていないようだった。


「眠い…よ…。」

「これ、終わらせなくていいのか?」

「……それも…困る…けど…。」


少しだけ痛みを感じるように、牙でアオの耳朶を噛み
足の付け根をなぞる様に刺激していくと、徐々に反応が良くなっていく体があった。

指を柔らかく食い込ませるように、下着の下に隠れた其処の淵を撫で上げてやる。
するとピクリと揺れた体が、目を覚まそうとしているアオの状態を物語っていた。


「ダメぇ…。そんな起こし方、ずるい…。」

「…他にアオを起こせる方法なんて、知らない。」


床に押し倒され、本格的にアクルクスに襲われそうな気配を感じながらも
それに抵抗できるほど、今のアオに抵抗力は無かった。

そういえば、たまにアクルクスの欲望が収まらずに夜中起こされる時も
気付けばこんな風に快楽に翻弄されつつ、体を揺さぶられながらになるのだ。

end

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